初めて会う相手を見つけた瞬間、何を言えばよいか分からなくなる。会ってからの話題は考えていても、その手前の数秒で戸惑うことがあります。最初の一言は、気の利いた話を披露するためのものではありません。互いを確かめ、挨拶をして、次にどう動くかを相談できれば、会う時間を始められます。
まずは、相手を確かめてから挨拶する
待ち合わせ場所で似た服の人を見かけても、後ろから急に触れるのではなく、相手から見える位置で声をかけます。例えば「こんにちは。アキです。ハルさんですか」と、普段やり取りしている呼び名を使って確認できます。周りに聞こえる場で、勤務先や詳しい個人情報まで付け加えなくても大丈夫です。
相手がこちらを探しているようなら、小さく手を上げるなど、気づいてもらえる合図を添えてもよいでしょう。声をかけた人が違った場合は、「失礼しました」で十分です。人違いを避けようとして、顔やスマートフォンの画面をのぞき込み続けなくても構いません。
挨拶は「こんにちは。見つけられてよかったです。今日はよろしくお願いします」くらいでも始められます。先に着いて待っていたなら、待ち時間に触れず「今日はよろしくお願いします」と伝える方法もあります。最初から会話を盛り上げる役を引き受けなくてもよいのです。
挨拶の後は、目の前の相談を一つ
何を話そうかと考えて、趣味や仕事の質問を立て続けに出したくなるかもしれません。でも、駅前なら人の流れ、店の前なら入る順番など、今確認したいことがあります。挨拶の後は、次の動きを一つ相談する。それだけでも、相手の返事を待って会話を始められます。
例えば「ここは人が多いですね。端に寄ってからお店へ向かいませんか」「予約の時間までもう少しありますが、先に入口を確認しますか」と尋ねられます。こちらが歩き始めてから説明するより、互いに聞こえる場所で、どこへ行くかを確かめておきます。
相手が荷物を整えていたり、コートを着直していたりしたら、すぐ次の質問を足さず待つ時間も取れます。「準備できたら行きましょうか」と声をかければ、返答しながら急いで動く必要がありません。荷物を持つ、身体に触れて誘導するといった助けも、本人に聞いてから選べます。
雨や寒さで立ち話が難しいときは、最初の会話を外で完成させようとしなくて構いません。「まず中に入りましょうか」と相談し、落ち着いてから話す案があります。挨拶が短かったことを、会う意欲が薄い証拠にしないようにしたいところです。
緊張を伝えるかどうかも、自分で選ぶ
言葉が詰まったら、「少し緊張していますが、お会いできてうれしいです」と短く伝える方法があります。本当にそう感じているときの言い方です。緊張している理由を詳しく説明したり、「話すのが苦手でごめんなさい」と何度も謝ったりする必要はありません。
一方、緊張を言葉にすると余計に意識してしまう人なら、普通の挨拶だけでも大丈夫です。笑顔の大きさや声の明るさまで整えようとせず、名乗る、相手の返事を聞く、と目の前のやり取りに戻れます。少し間が空いたことを、取り返すべき失敗にしなくてよいのです。
受ける側も、すぐに和ませる言葉を探さなくて構いません。「私も少し緊張しています」「まずお店へ行きましょうか」と、自分の言葉で返せます。相手の表情だけから、楽しみでなかったのだろうと決めることも控えます。
待ち合わせを振り返るなら、上手に見えたかより、互いを確認できたか、行き先を相談できたかを思い出してみてください。次は呼び名を先に伝えよう、移動する前に声をかけよう。そのくらいの具体的な工夫を残せれば、最初の数秒に会話全体の出来を背負わせずに済みます。





