「よければ、勤務先を教えて」「普段はどの辺りに住んでいるの?」。やり取りを始めた相手から聞かれると、答えないのは失礼だろうかと迷うことがあります。相手を知りたい気持ちも、少しずつ信頼していきたい気持ちも、どちらも自然なものです。
でも、親しくなることと、最初から自分の情報をすべて渡すことは同じではありません。何を伝えるかだけでなく、いつ、どの方法で伝えるかを自分で選べることが大切です。
この記事の目次
1.話のきっかけになる情報と、生活が特定される情報は別
「休日は散歩が好き」「本を読む時間が好き」といった話題は、自分らしさを伝える入口になります。一方、住所の番地、詳しい勤務先、日常の行動範囲、帰宅する時間などを組み合わせると、生活の場所が推測される場合があります。
名前や仕事について話す必要がある場面でも、初めのうちは「市内で働いています」「事務系の仕事です」など、無理のない範囲の言い方を選べます。相手の情報も、答えやすいところから聞く姿勢を大切にしましょう。
本人確認のためにサービス運営者へ必要情報を正式な手続で提出することと、知り合った相手に書類や画像を直接送ることは別です。本人確認書類や住所が分かる写真を、相手の求めだけで共有する必要はありません。
2.連絡先を交換する前に、今の方法で困っているか考える
知り合ったばかりで「すぐ別のアプリへ移ろう」と誘われることもあります。連絡手段を変えること自体で相手の人柄が決まるわけではありませんが、急いで移る理由が分からないときは、その場で応じなくてもかまいません。
例えば「もう少しこちらのサービスでお話しできたらうれしいです。連絡先の交換は、互いを知ってから考えたいと思っています」と伝えられます。
国民生活センターは、マッチングアプリなどで知り合った人に個人情報を安易に提供しないことや、投資サイトなどに誘導されるトラブルへの注意を呼びかけています。別の連絡先への移行を急がせたり、紹介されたサイトへの登録・支払いを求められたりした場合は、理由や安全性を確かめないまま進めないことが大切です。情報の共有範囲と、金銭・契約の判断はそれぞれ分けて考えましょう。
3.最初に会う約束も、安心できる条件から
会うことになったら、人目のある場所、帰りやすい時間帯、自分で帰れる交通手段などを考えます。初回から自宅や職場の近くまで来てもらう必要はありません。
たとえば「駅近くのお店で、昼間に一時間ほどお話しできたらうれしいです」と伝える方法があります。必要だと思えば、会う場所と帰宅予定を信頼できる人に知らせておくこともできます。
自分の希望を相手に伝えても、納得してもらうまで理由を説明し続ける必要はありません。予定を断る、変更する、会うのを見送るという判断もできます。
4.答えないことに、詳しい言い訳はいらない
詳しい住所や職場を聞かれて困ったら、「今は詳しい場所は伝えないようにしています。もう少しお話ししてからでもよいですか」と、簡潔に答えてよいのです。
相手がその境界を尊重してくれるかは、会話の大切な一面です。反対に、断るたびに責めたり、秘密を求めたり、怖さを感じるほど連絡を続けたりする場合は、安全を優先して交流を止め、サービスの通報窓口などに相談してください。
相手も自分も、安心して話せる範囲を選べること。その積み重ねが、互いを知るための時間をつくっていきます。信頼は、情報を急いで渡したかどうかでは測れません。
参考情報
国民生活センター「出会い系サイトやマッチングアプリ等をきっかけとする投資詐欺にご注意を」 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20210218_1.html
警察庁「SNS型ロマンス詐欺」 https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/sns-romance/romance/





